035
雪上
冷たい白い雪の上に、横たわってみた。
とても冷たく、白く輝いていた。
夜の妖しげな光に照らされた白い雪は、どこか寂しそうだった。
誰かに何かを訴えかけているようだった。
でも、其れが何なのか私には、判らなかった。
本当は、判ってあげたかったのに。
本当は、判りたかったのに。
本当は、私も雪に判って欲しかったのに。
雪だけでなく、沢山の人に。
判って欲しかったのに。
其の日、冷たく白い雪の上で、独りの女が横たわっていた。
彼女の手首からは、深紅の薔薇色に輝く血が、絶えることなく流れていた。
まるで、雪の上に散る、真っ紅な薔薇のように…。
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© 2005 Uri.