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Mr.セロファン

何故私は生きているのか。
理由を述べろと言われても、答える事は出来ないだろう。
私が生きていることで、何の利害関係が生じるというのだ。
私が死んだら、世の中がどう変わるのだ。

誰かが私を、私だけを必要としているのだろうか。
そんなことは、在り得ない。
私は、何の取り柄も無いつまらない人間だ。
そんな人間が、世の中から消え失せた所で、此の世の中が、どう変わるというのだ。

私が此世で生きる意味とは何なのか。
誰か教えて。誰か。誰か。誰か…。
誰かに教えて貰わなければ。

其れでもきっと、誰にも判らない。
何故ならば、私は生きていて、死んでいるから。
誰もが、私が生きている事に気が付かない。
私は、Mr.セロファン。誰も気が付かない。

気が付かないのならば、気付かせれば良い。
死と云う形で。気付かせれば良い。
でも。其れでも気付いて貰えなかった。
死を選び、死を実行したというのに。
誰独り、私の存在に。気付かない。
気付く事は… 無い。

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© 2005 Uri.