043
泪のキス。

ずっと殺してきた気持ちを吐き出した。
吐き出してみたら、案外すっきりした。
とても長い間、殺してきた気持ちだったから。

かえってきた台詞は、同意の言葉だった。
こんなにも長く殺してきた気持ちは、一瞬のうちに叶う事と為った。

もし、此の侭此気持ちを押し殺していたら、どうなっていたのだろう。
きっと僕は、壊れてしまっていただろう。
君に対する此気持ちは、すぐにも溢れ出てしまいそうで、抑えるのが大変だったのだから。



君は、僕と同じだと言って、僕たちの気持ちを確かめ合うようにキスをした。
其の行為は、とても自然で、そうなる事が当たり前かのように時は過ぎた。
其のキスは、とても甘く、切なく、永遠のものに感じた。
少しだけ泪の味がした。僕の物とも君の物ともいえない、泪の味が。

甘く永いキスは、僕たちの宝物となった。
沢山の時間、殺してきた気持ちは、これから沢山の時間を使って更に深くなって往く。

君が好きです。

1つ前に戻る
最初に戻る

© 2005 Uri.