047
何時も。暉。

沢山の薔薇の中に、小さな暉。
小さな暉は、沢山の薔薇で、今にも押し潰されそうで。
其の光景は、余りにも私に似ていて。

沢山の人の中に、私が居る。
私は、常に何かに脅えていて。
其の何かから逃げられなくて。
其の何かに、今にも押し潰されそうで。
逃げ出したくて、しょうがなくて。
でも、絶対に逃げ出す事は出来なくて。

逃げ出したくてどうしようもないのに、其処に。此処に居るしかなくて。
絶対に逃げ出せない何かに捕まっていて。
けれど、其処に居たくて。
自分でも判らなくなってくる程、逃げたくて、其処に居たくて。
自分が自分でなくなっていくような気さえして。

何かに捕まっていなければ、何処かへ落ちてしまいそうな気がして。
けれど、落ちたいという気持ちも持っていて。
何処かへ消えてしまいたい気持ちで一杯で。

薔薇の中の小さなな暉のように、沢山の何かに押し潰されそうで。
息さえ出来なくなっていて。

逃げる事など、簡単に出来た筈なのに。
私は其処から抜け出せなくて。逃げ出せなくて。逃げ出さなくて。
何時も脅えている事が快感で。
何時も何かに捕まっていないと、壊れてしまうから。

何時も。何かに。脅えて。

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© 2005 Uri.